現代文明は健康食の敵?味方?

 私は定年退職後に〈健康食〉の実行を決意した。スーパーに行くと肉・魚・野菜・果物・調味料売り場の一部以外は関係ないことになった。お菓子のコーナーや加工食品コーナーやパン売り場などを横目に通り過ぎる時《私は現代文明に反して生活しているのだろうか?あるいは現代文明に背を向けて生きているのだろうか?》と思ったりした。「面倒なことはやってられない!」と言う私の家族。《買い出しは私がやるし、調理も可能な限り私がやる》と云う条件で、生来、押しの強い私は家族を押し切った。治らない乾癬、老いを感じ始めた私の身体、癌・脳梗塞などで倒れ死んでいった私の友人たち。私に迷いはなかった。やれることはすべてやってみよう!と思った。それでもたまには、《私は誇大妄想に囚われた現代のドン・キホーテなのだろうか?》などと思ってしまった。

 スーパーに行って、購入するすべての食材の材料表に目を通し、産地を確認する。有り難いことに産地や材料が確認できる。買い入れた食材の調理方法を考える。ネットで検索する。買って来た新鮮なイワシの手さばきをネット動画で調べて試してみる。長年料理をすることが無かった私でも、魚をさばけるようになった。刺身にできる程新鮮なアジ・サバ・イワシ・サンマなどが冷凍技術の発達で連日スーパーに並ぶ。年中新鮮な野菜や果物も手に入る。現代の気の利いたフライパンを使えばパラパラの焼き飯を簡単に油なしで作れる。現代文明は私の敵ではない。まったく用がないと思っていたコンビニ、それでもレギュラーコーヒーは、いつでも安く飲めるし、野菜や果物もおいていたりする。非常にありがたいと思う時もある。

 たびたびヨットをやる私は私のためだけの野外ソロ調理なるものをやる。健康に悪いことこの上なかったアウトドア料理。けれどもアウトドアでも、その気になればけんこうりょうりの基準に合うシチューを作れる。カレー粉を使った本格カレーなども作れる。遠赤外線ストーブを使った私のお気に入りのソロ用の調理セット。これを使うと手間が省ける。

 私の〈健康食〉なるものは50年ほど前の、癌や心筋梗塞や糖尿病や乾癬が稀だったころの日本人の一般的な食に似ている。けれども実行している時の展開がまるで違う。

 私の〈健康食〉の前に大きく立ちふさがっているもの、それはまさしく現代文明そのものだ。けれども、私の〈健康食〉の背中を強力に押してくれているのも現代文明だ。

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